革を観察してみました
2017.09.29 Friday
ハンドメイドの革製品を製造販売しております【SHIN】代表兼職人の加來(かく)です。
今回は革を「マクロ撮影」することにより観察してみようと思います。
こうして拡大してみると、ツルツルに見える革でも細かい毛穴だったり凹凸だったりがあるのが分かります。
使い込んでいくと艶が出てくるのは、この凹凸が平になってくるからだと思います。
初めの写真はこの、ブッテーロに刻印を押したものです。
ちなみにこのマクロ撮影はスマホ用のレンズを使いました。
さて、初めからツヤツヤのコードバンは拡大するとどうなるでしょう?
この通り、やはり小さな粒子状の凹凸があります。
次は逆に、表面に「シボ(細かいシワ)」がある革を見てみましょう。
この革はイタリア/ブレターニャ社の「アリゾナ」という革です。
少し近づいてみると、このように上品なシボが。
さらに近づくとこんな感じに。
何やら爬虫類のような…
アリゾナはシボを「型押し」ではなく、回転するドラムに入れて揉み込むことによってシボを出しています。
そのため、部分部分によってシボの出方が違います。
革の繊維が詰まっているところはシボが細かく、繊維が荒くなっていくほどシボは大きめに出ます。
写真の真ん中あたりは背中の部分です。
背中は繊維が詰まっているので、シボが殆ど無いのがおわかりでしょうか?
背中の部分を拡大するとこのようになります。
シボは全く無いですね。
拡大しているとザラザラしているように見えますが、実際にはつるっとしています。
先程から「繊維」というワードが出ておりますが、その「繊維」をお見せいたしましょう。
写真はサドルレザー(ヌメ革)です。
上に乗っているのは少し日焼けして色が濃くなっております。
この2枚の革の繊維を見てみましょう。
裏返してみました。
さあ、どちらが繊維が詰まっているでしょう?
誰が見ても一目瞭然だと思いますが、下の方が繊維が細かく詰まっています。
表(銀面)だけ見ても分かりづらいのですが、裏側(床面)をみるとよく分かります。
繊維が詰まっている方はこのように細かく均一です。
さらに拡大。
細かい繊維が絡み合っているのがお分かりいただけると思います。
一方、繊維が粗いほうは肉眼でみるとこのように見えます。
部位で言えば「脚」、「首」はこのように繊維が荒いです。
拡大すると、このように。
何かシーチキンみたいになっております。見るからに「密度」が薄いです。
写真のこの2つの革は最も詰まっているところと最も粗いところを比較しております。
最も詰まっている部位でなければダメだという事ではありませんが、最も粗い部分は避けた方がよいでしょう。
趣味でレザークラフトをやっている方は革を購入する時は裏側(床面)をチェックして繊維が詰まっているものを選びましょう。
繊維の詰まり具合は耐久性に関わるので、銀面の傷等よりもこちらを重視すべきです。
いかがだったでしょうか?
革の拡大写真はあまり見る機会が無かったのではと思います。
安いスマホ用レンズでも、意外と役に立つものです^^
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